研究概要 |
目的:既存のインプラント製品との比較を前提に,既存製品を母材としPLD法によってHap超薄膜形成を行ったインプラント体に対する生体反応についてin vivoおよびin vitroを通じて検討した. 1)LD法の仕組み: レーザ光{ArFエキシマレーザ(波長193nm,パルス幅20nsec)}をレンズで集光して真空装置内に置かれたターゲットに照射すると,ターゲット表面において爆発的な剥離分解反応(アブレーション)が生じ,原子,分子そしてイオン等が放出される.放出された粒子は対向した位置にある基板上に堆積され,薄膜を作製する. 2)SEM観察結果 実験期間4週では,Hap超薄膜は,対照と比較してインプラント体周囲に新生骨が形成されていた.特に,皮質骨より骨髄部での骨形成に差が顕著であった.8週においても,インプラント周囲には新生骨形成像が認められたが,4週にみられた両者の骨形成の差異はなかった.しかし,Hap超薄膜では,新生骨表面にはリモデリングが開始している像が認められた. 3)TB観察結果 図3と4にTB観察結果を示す.実験期間4週の骨髄部において,対照では新生骨とインプラント体の界面に間隙がみられたのに対し,Hap超薄膜では間隙がほとんどみられなかった.8週になると,対照では,4週と比較して新生骨が形成されてきているのに対し,Hap超薄膜では4週と比較して界面に破骨細胞様のかたまりが認められ,リモデリングが開始していた. 4)細胞分化試験 2週間後,膜厚200nm,膜厚500nmにおいて膜厚500nmおよび対照に比較して有意にオステオカルシンmRNAの発現量が多く,膜厚200nmで最多であった.しかし,アルカリフォスファターゼmRNA発現について,無処理群および実験群で有意差は認められなかった.3週間後,膜厚200nmにおいて他の3種類と比較して有意にオステオカルシン,アルカリフォスファターゼ両mRNAの発現量が多かった.
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