研究概要 |
今年度の本研究ではSHRSPラットおよびSDラットを用い,鎮静剤・鎮痛剤の併用による,自発運動量,心拍数,体温など生体への影響を観察した。そして,ラット脳シナプス膜画分への影響を検討した。 1.高週齢ラットの飼育 雄性,7-10週齢のWistar系SDおよびSHRSPラットを本学動物実験センターへ納入・飼育し,40週齢以上を高週齢ラットとした。なお,SHRSPラットの7割が飼育・前処置・実験中に死亡した。 2.血圧 非観血式自動血圧測定装置(ソフトロン社BP-98A)を用いtail-cuff法にてラットの尾で計測した。 3.小動物用テレメターシステムを用いた自発運動量・心拍・体温 小動物用テレメーターシステム(Vital View 4000)の受信装置とデータ発信器(PDT-400HR)2組を購入し,設備拡充した。 4.高週齢ラットに対するミダゾラムとペンタゾシン同時投与 鎮静効果を得るミダゾラム0.5mg/Kg(MID0.5)と鎮痛効果を認めるペンタゾシン6および12mg/Kg(PEN6,PEN12)の同時投与は,生理食塩水を注射(対照)に比較して鎮静効果と鎮痛効果を増強し,運動協調性機能低下を増長させた。 5.高週齢SHRSPラットへのミダゾラムとペンタゾシン同時投与 自発運動量:MID0.5+PEN6同時投与は,15,30分の時点で対照より低下した。MID0.5+PEN12.0同時投与は15,30,60分の時点で対照より低下した。なお,120分の時点で各群は対照と差を認めなかった。心拍と体温:全時点でCONと有意差なし。 6.ラット脳シナプス膜画分におけるGABA_A癌受容体複合体への影響 平成17年度末に動物実験センターラット飼育室でマイコプラズマが蔓延,施設長命令で高週齢ラット等70匹を薬殺した。今後,高週齢脳疾患ラットの脳シナプス膜画分を調整し本実験を継続したい。 本研究では行動薬理学的研究の成績を中心に,高齢・脳疾患ラットの対する鎮静剤と鎮痛剤の併用による相互増強作用の程度および副作用の強さを実証した。
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