研究概要 |
一般病棟における血管カテーテルなどの輸液管理とその汚染に関する調査から、一般病棟の通常の環境下で調製された輸液からは細菌が分離されたのに対して、薬剤部で無菌的に調製された輸液からは細菌が分離されなかった.また、輸液ラインについては、ラインハブから薬液の注入や採血などの操作が行われたラインからは細菌が分離されたが,操作がなかったラインからは細菌は分離されなかった。これらの結果から,輸液の汚染を防止するためには,輸液調製時と輸液ラインからのアクセス時の汚染防止が重要であることが示唆された.そこで,中心静脈輸液を高頻度に実施しているICU病棟における輸液調製,輸液ライン接続,カテーテル刺入部のケアと衛生行動の実態調査と細菌学的な検討を行った。中心静脈輸液実施時における看護師のケア行為では,1)輸液調製時の手指衛生とそのタイミング,2)処置台などの作業環境の清潔,3)PPEの使用方法,4)注射器などの滅菌物の取り扱い,5)プライミングの方法,6)ライン交換までの準備と手指衛生,7)PPEの使用,8)ライン交換時のハブの処理と消毒方法において汚染の可能性があることが示された.また、気管内吸引カテーテルでは、吸引に使用したカテーテルの汚染が明らかにされ,カテーテルの消毒用薬液や洗浄方法の問題,さらにカテーテルの乾燥などのカテーテル管理の方法が汚染に関与していることが示唆された.以上の検討から、感染防止の観点からこれらの汚染リスクを低減する中心静脈輸液のケアマニュアルを新たに作成した。
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