研究概要 |
性差における女性特有のケアの検証-女性とリンパ浮腫との関係から-における3年間の研究により,以下の内容を明らかにすることができた. 1. 健康な成人女性の生理学的指標を用いた,浮腫に関連するデータの蓄積である。今まで浮腫に関連する健康な成人女性のデータがなかったため、今回のデータが浮腫に影響を及ぼす関連因子を明らかにすることができ,浮腫の予防等の指導に意義あるものと思われる.成人女性5名を対象に最低3日間の朝・夕の下肢周囲測定,下肢のポンプ機能測定,むくみの自覚,BMI,筋肉率,体脂肪率を測定しその関連を統計的に分析した.その結果,下肢の周囲測定においては朝夕で有意差は認められなかった.下肢のポンプ機能はVRT(Venous Refilling Time)を使用し測定した。その結果朝夕では、VRT値は夕方低下するものの有意差は認められなかった。また、VRT値と年齢、体脂肪率,筋肉率,BMIとの関連を調査した結果年齢,体脂肪率,BMIで負の相関が認められ,筋肉率と正の相関が認められた(p<.001)。 2. がん患者のリンパ浮腫に対する知識およびセルフケア能力およびリンパ浮腫と関連因子を明らかにするため,がん患者会参加者35名の協力を得て,調査を実施した.今回の協力者は子宮頸がん,体がん,卵巣がんの患者で有り、80%リンパ廓清を行っていた.リンパ浮腫に対する医師からの説明は約40%のみが術前に聞いており,その後は雑誌あるいは患者仲間からそれぞれ3割の方々が情報を得ていた.今までリンパ嚢腫を含めリンパ浮腫にり患した経験のある者が、45.7%と多く,この方々はとらえず手術をした病院へ出かけるか、自己セアで対処していた.その後自己流の予防ケアをされている方々が、8割おり、この方々は自己効力感も高めの傾向にあった。正しい知識を与え、セルフケアにつなげる必要がある。
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