研究課題/領域番号 |
17592240
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床看護学
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
佐々木 綾子 福井大学, 医学部, 准教授 (00313742)
|
研究分担者 |
中井 昭夫 福井大学, 医学部, 助教 (50240784)
松木 健一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10157282)
田邊 美智子 福井大学, 医学部, 教授 (80227199)
波崎 由美子 福井大学, 医学部, 助教 (80377449)
小坂 浩隆 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (70401966)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,650千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 150千円)
2007年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 母性育成 / 虐待防止 / 学習プログラム / 青年期 / 脳機能画像 / 心理学 / 生理学 / 内分泌学 / 脳科学 |
研究概要 |
母性の育成を促進させる学習プログラムを出産・育児経験のない青年期男女に実施し、その効果を心理・生理・内分泌・脳科学的に明らかにすることを目的とした。青年期男女計19〜20名に対し、保育園の0歳児クラスで継続的な乳幼児とのふれあい育児体験を実施した。また、母性育成状況を評価するために質問紙調査、親性を刺激する乳児の笑い場面・泣き場面の映像を提示し、各場面に対する心理・生理・内分泌・脳科学的評価を体験前後に行った。さらに、母親群のデータと比較した。これらを平成17〜19年度、方法を毎年改善し3クール実施した。その結果、以下のことが明らかとなった。1)心理学的評価:乳幼児への好意感情・育児への積極性は体験前より体験後の方が有意に高まった。2)生理学的評価:「泣き」は「笑い」に比べ,体験前は交感神経の活動性が高まったことを示す心拍パワースペクトル(LF/HF)の変化率が有意に高まった。3)内分泌学的評価:唾液コルチゾール・アミラーゼにおいては、事例により各刺激間の変化がみられたが、全体的には有意な変化ではなかった。4)脳科学的評価:乳児の泣き課題のfMRIを行い、比較検討した。その結果、特に平成19年度の結果において、聴覚刺激だけのセッションは、乳児の泣き声課題からホワイトノイズ課題を比較したものについて、体験前では聴覚野である両側側頭葉が有意に賦活した。体験後では、聴覚野である両側側頭葉のほか、両側の前部後部帯状回、両側の前頭葉に賦活を認めた。体験前後の直接比較では、体験後は体験前と比較して、両側の前部後部帯状回、両側の中前頭回に有意に賦活を認めた。また、青年期群と母親群の比較では、聴覚と映像刺激課題において、体験前との比較で母親群の方が右下前頭葉に有意な賦活を認めたが、体験後との比較ではその差は少なくなったことから、母親群の反応に近づいたことが推察された。これらのことから、ふれあい育児体験により、ホワイトノイズと乳児の泣き声の聴覚刺激の相違を認知しやすくなった結果、乳児の泣き声に対する敏感性が高まり、注意が向くようになった可能性が考えられた。このことは、体験後の感想でも被験者が述べており、将来の虐待防止にもつながる重要な結果であった。 以上の結果から、心理・生理・脳科学的にふれあい育児体験の積み重ねや乳児との関係性の構築により母性育成されたことが検証された。
|