本研究は、不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度を開発することを目的として、(1)「不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度案」(以下尺度案と表記)を精錬する。(2)精錬された尺度案を実際に活用するための指針を提案する、の2つの目標を設定した。 目標(1)を達成するための<尺度案精錬のための準備>として、尺度の妥当性を多面的に検証する方法及び実用化するための具体的手順を検討した。<尺度案精錬のための調査>は、研究協力に同意の得られたカップルを対象にインターネット調査法を用いて実施した。分析は593人を対象とし、「親密さ尺度案(57項目版)」の信頼性及び妥当性を確認後、I-T相関、主成分分析、因子分析を用いて質問項目数を減らしていった。その結果、「親密さ尺度(37項目版)」ができあがった。37項目版は、α係数が全体で0.96、【基本的信頼の実感】【性的満足感】【自己表出】【共に治療に取り組むこと】【悲しみの分かち合い】の5下位尺度においても、内的整合性による信頼性は支持された。妥当性は、基準関連妥当性、仮説検証法並びに因子分析法による構成概念妥当性が支持ざれた。検証的因子分析を行ったところ、GFI0.905、AGFI0.876、RMSEA0.066、AIC675.5であり、モデルの適合度は納得できるものであった。 目標(2)を達成するために、これまでの分析結果と文献検討をもとに、「不妊治療を受けているカップルの親密さを測定する尺度」を活用するための指針案を作成した。得点に準じて、ホームページを介して回答者にフィードバックできるようなものである。この指針案の妥当性を検討するために、不妊看護のエキスパートと検討会を開催し、精錬した。また、ホームページに掲載するために、不妊治療を受けているカップルへの診断結果の示し方等についても検討した。
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