研究概要 |
I.目的:パーキンソン病(以下,PD)患者が肯定的自己概念を維持するための援助プログラムの作成と評価 II.研究方法:1)対象:介入群:参加を希望したPD患者26名,対照群:不参加のPD患者26名.2)使用尺度:,自尊感情,難病患者に共通の主観的QOL尺度(以下,主観的QOL),日本語版Parkinson's Disease Questionnaire-39(以下,PDQ39),Mishel Uncertainty in Illness Scale-Community Form(以下,MUIS-C)3)調査時期:介入群はプレテスト(参加前),ポストテスト(参加後).比較群はプレテストとポストテスト(プレテスト約1ケ月後)4)プログラム内容:PD患者(13名)にグループインタビューを行い自己概念の様相を明確にし,影響要因を検討した.その影響要因から以下の内容を決定した.第1回[パーキンソン病を知ろう](1)パーキンソン病の原因と症状(看護師),(2)パーキンソン病とくすり(薬剤師),(3)交流会.第2回[毎日の症状との付き合い方その1](1)発声と飲み込みのリハビリテーション(言語聴覚士),(2)カンテレミニコンサート(カンテレ奏者),(3)仲間の体験から学ぶ(PD患者),(4)交流会.第3回[毎日の症状との付き合い方その2](1)社会資源を知ろう(難病医療相談員),(2)身体のリハビリテーション(理学療法士),(3)交流会.第4回[こんな時どうしますか](1)音楽・こころのリラックス(音楽療法士),(2)日常生活の過ごし方とこころの持ち方(看護師),(3)交流会,(4)修了式.5)回数・期間・人数・方法:4回1クール,1〜2週間毎に開催,計3クール.1クール人数8〜9名.学習会と交流会を組み合わせ,学習会は専門家が講師となる.交流会は看護師がファシリテーターとなり参加者同士の語り合いを通してサポート関係を高める.III.結果:1)介入群と比較群の基本属性でHoehn&Yahr重症度のみ2群間に有意差ががった(χ^2値=4.404,p=.036).2)対照群「自尊感情」総得点プレテストとポストテスト間で有意差あり(t=4.697,p=.000),ポストテスト総得点が低い傾向だった.3)2群間ポストテスト各スケール項目χ^2検定で有意な相違があったのは,「自尊感情」5項目,「PDQ39」5項目,「MUIS-C」6項目で,「自尊感情」と「MUIS-C」は肯定的回答が有意に多かった.3)プレテスト,ポストテストのMcNemar検定で,自尊感情「自分に対して肯定的である」に有意差があり,参加後に自分に対して肯定的になった人が増えた.4)4尺度を従属変数に,基本属性を独立変数にとり重回帰分析を行ったが有意差はなかった.IV.考察:プログラム参加が肯定的自己概念の維持および肯定的自己概念への変化につながった.本研究で作成した援助プログラムはPD患者にとって意義あるものであり,今後も内容の充実を図り,継続する必要性が高いことが確認できた.
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