研究概要 |
1.全国の精神病院入院中の患者で糖尿病を合併している患者の実態を知り,問題点を明らかにすることを目的とした。20施設に入院する精神疾患患者4,188名中,糖尿病を合併している患者は272名であった。 1)疾患分類(ICD-10)の糖尿病合併患者の割合は,「F0:9.8%」「F1:9.4%」「F3:7.3%」「F2:6.8%」の順であった。性別による比較では,男性患者6.9%,女性5.5%で,男性の方が糖尿病合併患者の割合が高かった。 2)HbAlc6.5%未満を「糖尿病管理良好群」,6.5%以上を「糖尿病管理不良群」とし,自己管理がうまくいかない要因[自制困難][糖尿病の病識欠如][糖尿病の誤った認識][精神症状の悪化]の4要因について比較した。「不良群」の方に[自制困難][糖尿病の病識欠如]の要因を有する割合が高かった。 3)運動療法は9.1%の患者しか実施しておらず,年代や精神症状に合わせた運動療法を積極的に取り入れていく必要が示唆された。 4)食事療法は87.9%の患者が実施しており,社会復帰に向けていかに食事療法を継続させていくかが重要な支援であった。 2.精神疾患患者で糖尿病を併せ持つ患者の自己管理に向けた看護介入を明らかにすることを目的にした。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて29事例の分析をした。 1)看護師が糖尿病の管理に向けて影響すると捉えている患者の特性は,3つのカテゴリーに分類でき【疾病受容に影響する特性】【治療意欲に影響する特性】【治療継続に影響する特性】であった。 2)意識の転換を図り,患者の特性をポジティブに捉えることで【治療意欲に影響する特性】【治療継続に影響する特性】に対する支援はできていたが,【疾病受容に影響する特性】に対する支援は不十分であった。 3)今後は,患者が疾病の認識を深められるような支援として,患者参画型の糖尿病教室を企画し,介入研究として発展させていきたい。
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