研究課題/領域番号 |
17601013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
都市
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鐘ヶ江 秀彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (90302976)
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研究分担者 |
石橋 健一 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 准教授 (00333039)
大槻 知史 立命館大学, 地域情報研究センター, 客員研究員 (40399077)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | コンパクトシティ / 持続可能性 / マルチエージェント / 政策シミュレーション / Compact city / HDP / Sustainability Science / 環境政策 / 経済政策 / シミュレーション工学 / 都市計画・建築計画 / 環境調和型都市基盤整備・建築 |
研究概要 |
本研究は、今後20年間に約1.5倍になると予想される途上国の都市人口と、それに伴って必要とされる都市開発に対するコンパクトシティ政策適用の妥当性と適用方策を検討することを目的としている。 1)コンパクトシティ政策の途上国適用の妥当性の検証 そこで本研究では、バンコク首都圏(BMR)の3区(Bangkapi, Bang Plee, Bang-Chalong)を対象に、タマサート大学建築計画学部と共同で人間・モノの総移動交通量試算モデルの開発及びその基礎的データ(PT調査・ヒアリング)の収集を行った(N=278)。この結果、3区における1日あたりの労働者の平均距離が40〜50kmであるのに対して、1労働週当たりの総移動距離の平均が約100km前後となっていること、そして、主要な鉄道駅への平均距離が21〜30kmであることから、都市域の拡大とそれに伴う移動コストの増加が労働者(特に、低所得者層)の就労機会の向上を阻害していることが明らかになった。その一方で、上記3区の人口密度は中心市街地からの距離とは無関係に一定の高密度状態にあり、広範囲に拡大したバンコク首都圏においては、一点集中型ではなく、既存の区(ケート)ごとに中心部と行政機構を持たせたポリセントリック型のコンパクトシティ政策の適用が妥当であると判断した。 2)コンパクトシティ政策の適用方策の検討 ポリセントリックな都市核への誘導に必要な都市インフラ・基幹産業誘致等のプルファクターとバンコク首都圏からの機能移転による人口誘導の有効性を検証するために、マルチエージェントシミュレータ開発言語であるSOARSを利用して、土地利用・交通シミュレータのプロトタイプモデル(B_2SQモデル)の開発を行った。まず、ポリセントリック型の都市核パターンを仮想空間上に表現するために、都心部の周辺に8つのサブコアを配置し、設置が予定されている複合交通センター、BTS(スカイトレイン)およびMRT(バンコクメトロ)の延伸予定路線を設定し、社会的役割及び所得階層を設定したエージェントを組み込む設計とした。 まず、上記のPT調査の結果をB_2SQモデルに投入し、実社会の傾向とモデルの挙動との整合性を検証した。この結果、現状で自動車利用率が最も高く(約36%)、次いでバス(約31%)、船舶(約14%)、MRT(8%)の順になり、概ねモデルがバンコク首都圏の現状を再現することに成功した。これを踏まえて、軌道系輸送機関の交通ネットワークの強化変数を投入した結果、各交通機関別の利用率が自動車(約32%)、バス(約30%)、BTS(約14%)、MRT(約13%)に変化し、主要交通機関へのアクセシビリティの向上によって、道路系輸送機関の利用率が全体で約5%の減少効果が見られた。そして、バンコク中心部に8つのサブコアを配置した状況下において、各サブコアとバンコク都心部を軌道系輸送機関でネットワーク化させた状況で各交通負担率を検証したところ、自動車(約30%)、バス(約30%)、BTS(約15%)、MRT(約14%)に変化したことから、都心部周辺にサブコアとしての小規模都市を配置する都市のコンパクト化と併せて、サブコアと都心部を軌道系輸送機関によって結び、交通ネットワーク密度を高めることによって、自動車利用の抑制と軌道系交通機関の利用が拡大することが明らかになった。
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