研究課題
基盤研究(C)
2008年に共用を開始するJ-PARCの登場によって中性子を用いた結晶構造解析は新しい場面を迎えようとしている。蛋白質には非常に多様な個性があり、その個性を生み出すメカニズムを解明するためには中性子構造解析によって水素原子や水和水の情報を得ることが重要である。そこで、幅広い分野の蛋白質研究者を集め、水素水和構造がその機能に関与する解析対象を調査し、世界でも有数の中性子回折計を活用するための企画調査を行った。調査項目は下記の通りである。1)生体高分子における水素位置の決定方法に関する調査2)分子認識における水素や水和水の役割に関する調査3)酵素反応触媒における水素や水和水の役割に関する調査4)中性子構造解析が有効に活用できる新規解析対象の調査これらの項目を分担し調査を行った結果を持ち寄り、合計3回の会合を持った。そのうち一回については公開シンポジウム(開催日平成18年1月23日、(社)日本化学会化学会館にて開催)として調査を進めるとともに、一部の調査結果を報告した。本シンポジウムでは、生体高分子の立体構造解析研究に携わる第一線の研究者の講演が行われ、最新の研究成果が紹介されるとともに中性子による水素原子の観測の意義が深く議論された。また会議では中性子を用いた立体構造解析における問題点が提示され、その解決法に関する取り組みが紹介された。特に蛋白質を遺伝子工学的に改変して結晶化を促進するアプローチや、フェムト秒レーザーをもちいた結晶核形成による結晶化法が中性子構造解析をより身近にする技術として注目を浴びた。得られた調査結果を元に、1)シミュレーション等の理論計算、2)熱測定による脱水和効果の観測、3)水素や水和水の位置決定を統合した創薬研究を目的とした特定領域研究へと展開を図りたい。
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月刊エネルギー 39
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