研究分担者 |
金田 行雄 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10107691)
小尾 晋之介 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80233609)
笠木 伸英 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (80107531)
小森 悟 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60127082)
梶島 岳夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30185772)
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研究概要 |
乱流研究の歴史は100年余りに及びその間幾つかの重要な発見が行われ,それらの結果は純粋な乱流理論の発展のみならず,乱流モデルの開発や乱流に付随する現象の予測と制御といった工学的応用研究の進展にも貢献してきた.コルモゴロフに代表される理論的研究に加えて,1950〜1960年代に発見された大規模組織構造は,乱流に関連する多くの研究,特に抵抗低減,乱流混合,乱流モデル等の工学的に重要な研究に多大な影響を与え,無秩序運動の予測・制御から準秩序構造の予測・制御へと研究の方法論を大幅に変化させた.一方,微細スケールの構造に関しては,1990年代後半になり乱流場の種類に依存しない普遍的な特性を有する微細構造の存在が明らかとなった.この構造は,コヒーレント微細構造と呼ばれ,乱流エネルギー散逸率及びその間欠性等と密接に関連しているとともに,抵抗低減,乱流燃焼等の特性を決定する重要な構造である.通常,乱流は乱流運動エネルギーの大部分を保有する大規模スケールの渦から徐々に小さな渦へとエネルギーが伝達され,最終的にコロモゴロフ・スケールで熱エネルギーに変換されると考えられている.このカスケード過程は慣性小領域に成立する-5/3乗則によって裏打ちされており,そこには階層的な渦構造が存在するものと信じられている.この階層構造は,上述の大規模組織構造とコヒーレント微細構造の間を取り持つ構造であるが,中間スケールの渦構造の存在も含めてその詳細は未だ明らかにされていない.本研究では,乱流階層構造を核として乱流構造の統計,乱流モデルによる予測,MEMSを用いた乱流制御,乱流混合拡散,抵抗低減,乱流燃焼を含む反応性乱流についての研究動向とその将来性を調査し,それらの結果に基づいて一線で活躍する研究者を組織し,領域名を「多様な階層構造に基づく乱流の予測,制御及び活用」として特定領域研究へ申請した.
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