研究概要 |
安全安心の向上は大きな国家的な課題である.私的な空間の安全や健康管理などの個人的問題に対しては,受益者や対象が明確であり,センシングや情報技術の実装に関する研究開発が活発である.それに対して,人間活動のかなりの割合を占める公的空間は,対象空間が極めて広く,不特定多数が相手であり,かつ事象も事故・火災・犯罪・地震.・テロなど多種多様であるため,問題は桁違いに複雑である. これに対し本研究では,研究代表者が提唱する,センシングによって状況を「知」り,人間を含む能「動」的アクチュエーションによって現実空間にフィードバックするという「知動化」構想にもとづき,人間や車両などの移動体を利用したセンサ・アクチュエータ・ネットワークによる,安心・安全な「知動化セキュア空間」の実現に必要な技術課題に関するロードマップの構築を目指した. これに向けて,8月には箱根において,20余名のメンバーにより,知動化都市基盤構造の構築に必要な技術,とくにセンシング,ネットワーク技術の体系を議論し,そこでの議論を小冊子の形でまとめた. また,11月には,全米科学財団(NSF)の協力のもとに,日米ワークショップ「センサー,スマート構造とメカトロニックシステムズ」を開催した.日本側は,藤野,保立(ともにメンバー),アメリカ側は,スペンサー教授(イリノイ大学),富塚教授(カリフォルニア大学バークレー校)がホストをとなり,アメリカ側25名,日本側30名の参加を得た.そこでは,センサー,スマート構造,メカトロニックシステムズの実社会,とくに都市基盤構造への適用とその技術的課題について,議論を深め,この分野のロードマップを作ることで合意した.
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