研究分担者 |
位田 晴久 宮崎大学, 農学部, 教授 (60151768)
下町 多佳志 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60249886)
尾崎 行生 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (60253514)
渡部 由香 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70244267)
安永 円理子 九州大学, 生物環境調節センター, 助手 (00380543)
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研究概要 |
施設園芸において過剰昇温の抑制を目的とした施設冷房が注目され,その効果が期待され続けてきた.しかし,とくに過剰昇温が問題となるであろう西南暖地において,冷却技術を園芸施設へ活用することはなかなか普及していない.冷却の対象やその手法について,これまで様々な技術的提案がなされてきたにもかかわらず,生産現場に十分浸透しているとは言い難い.そこで,日本生物環境調節学会九州支部が中核となって関連学会九州地区会員とも連携し,西南暖地(主に九州地区)の施設園芸における空気および培土の冷却技術についての現状や研究の進展状況を調査した.その結果,この地域では春から秋にかけて施設内温度が極めて高温で推移するため,冷房導入の前提となる「現有施設利用の高度化」を重要視せずに栽培に不適な時期の作付を回避し,市場性が最も高い時期に焦点を絞った生産体系を確立している傾向が見出された.そのような状況の中で,施設冷房の効果が正しく評価されていないために冷却技術の導入に対する関心が極めて低いことが示された.すなわち,生産場面では「施設冷房などの導入は高コストで実用的といえない」という考えが根強く,一方,農業資材メーカは細霧冷房など多種多様な製品を開発し,その利用で得られる冷却効果が明らかにされないままに「冷えるであろう」ということを見込んで大量に現場に紹介している.結果的に,冷却技術を導入したときの温度効果を定量的に評価する手法や,冷却がもたらす植物生育,収量および収穫物の品質への影響について,十分な理解が得られていない.したがって,施設冷房を導入することの有用性を説得力のある科学的検証により明示しなければ,生産現場への冷却技術の普及は図られないであろう.以上の調査結果を取りまとめて,施設園芸における冷却技術が温度環境と植物の生育・収量におよぼす効果に関する基礎的研究と農業生産への応用に焦点を絞って研究計画を立案し,今後の研究資金申請の準備を行った.
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