研究概要 |
本研究は、分散型OSの自動生成を目指すものである。そのために、平成17年度は、準仮想化に基づく軽量仮想計算機(軽量VM)とプロキシを実現することを目標とした。平成18年度は、耐故障性を実現することを目標とした。軽量VMとは、大部分の機械語命令の実行を実計算機のCPUに任せ、一部の機械語命令やわずかな周辺装置のエミュレーションを行うものである。軽量VMの働きにより、本来は実計算機上の特権モードで動作するOSを、他のOS(ホストOSと呼ぶ)上のユーザ・プロセスとして実行することが可能になる。軽量VM上で動作するOSを、ゲストOSと呼ぶことにする。 平成18年度は、軽量VMの高速化、および、移植性の向上を実現した。高速化を行うために、カーネル・レベルのハイパバイザを実現した。これは、システム・コールやページフォールト等のCPU例外を高速にゲストOSへ送信するものある。さらに、ゲストOS内におけるページフォールトの問題を解決することにより、ゲストOSにおけるユーザ空間からカーネル空間へのコピーを省略することを可能にした。これらの改善により、4本のギガビット・イーサネットにおいて、リンク速度が達成された。また、カーネル・レベル・ハイパバイザは、ホストOSへの依存性が低いので、移植性も向上させることができた。具体的には、ホストOSとして従来のLinux,NetBSD,FreeBSDに加えて、Windows,および、MacOSXを利用できるようになった。その他に、既存の仮想計算機モニタであるXenにおいて、本研究で得られた技術を用いることで、それまでXenでは対応していないゲストOSを動作させることも可能にした。
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