研究概要 |
映像・画像の認識は,セキュリティのための人物監視,車載カメラからの道路標識認識などの自動車運転支援のための環境認識,長時間放送映像のモニタリングなどで,重要な技術である.しかし,認識対象を学習するためには,多数の学習サンプルが必要であるが,一般に多数の学習サンプルを収集することは困難である.本研究の目的は,映像認識において「少数の学習サンプルから認識対象を効率的に学習する手法」を体系的に開発することにある.少数の学習サンプルから学習に適した多数のサンプルを自動的に生成する生成型学習法を新しく提案し,その性能を明らかにする.生成の手法として,画像の見かけの補間,変形や変動の付加,光学的な変動モデルの導入などを検討し,提案手法を構成的に実現し,実験により評価する.本研究はその問題点を解決するために,生成型の学習法を原理的な立場から研究する. 本年度は,以下の2つの手法を提案した.(1)携帯カメラから入力された低解像度画像からの文字認識を例に,より高度な生成モデルを検討した.昨年度提案した位置ずれモデル,光学ボケモデルなどに加え,カメラを手で持つことにより発生する手ぶれのモデルを導入した.認識の枠組としては部分空間法を利用した.手ぶれの情報を検出して,この情報で生成モデルを絞り込むことにより,カメラが静止している場合よりも低解像度の文字を精度よく認識できることを実験的に示した.(2)生成型学習において,従来,学習パターンを生成する際の生成モデルの各種パラメータの設定は経験的に行ってきたが,今回,遺伝的アルゴリズムを応用して生成パラメータを自動的に推定する手法を提案した.現実により適した学習パターンを生成することが可能となり,道路標識認識などにおける認識率が向上することを実験的に示した.
|