研究課題/領域番号 |
17650093
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 甲状腺ホルモン / 眼優位可塑性 / 視覚野 / 経験依存的発達 / 長期増強 / 長期抑圧 / T型カルシウムチャネル / NMDA受容体 / シナプス可塑性 |
研究概要 |
1)本研究では、甲状腺ホルモンが、脳機能発達に重要な役割を果たすと考えられているシナプス可塑性とシナプス可塑性に基づく視覚機能の可塑的変化に影響を与えるかを検討した。 2)妊娠8日からラット(Long-Evans)に0.02% methylmercaptoimidazole(MMI)を含む水を飲ませ続け、生まれたラットにも離乳後は同じMMIを含む水を飲ませ続けた。この手続きにより甲状腺ホルモン欠損状態で発達中のラットから作製した視覚野スライス標本を用いて行った昨年度の研究により、甲状腺ホルモンは興奮性シナプス伝達のT型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強と抑制性シナプス伝達のNMDA受容体依存性長期抑圧の発生を促進することを示す結果を得た。 3)本年度は、2)の手続きにより甲状腺ホルモン欠損状態で育てたラットにおいて、視覚機能の可塑的変化に影響があるか調べた。 4)感受性期のピークの生後25日に右眼の眼腱を縫合し5日間の片眼遮蔽を行い、眼優位可塑性に影響があるか調べた。片眼遮蔽終了後、サイン波状の格子模様をラットの右目あるいは左目に提示し、1秒に1回その明暗を反転し、それにより遮蔽眼の対側(左側)視覚野の両眼視領域に誘発される細胞外電位を記録した。右目(遮蔽眼)の視覚誘発電位の振幅の、左眼(非遮蔽眼)の視覚誘発電位の振幅に対する比率で、眼優位性を評価した。 5)コントロール動物では、その比率は約2から約0.5に顕著に減少し、非遮蔽眼が優位になった。甲状腺ホルモン欠損ラットにおいても全く同様の変化が生じた。 6)以上の結果は、甲状腺ホルモン欠損はシナプスの可塑性をある程度抑制するが、眼優位可塑性に対しては顕著な影響を及ぼさないことを示唆している。しかし、本研究で用いた5日間の片眼遮蔽は非常に強い効果を持つので、より短期間の遮蔽では影響が現れる可能性は強いと考えられ、更に検討する必要がある。
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