研究課題/領域番号 |
17650097
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
高田 昌彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00236233)
|
研究分担者 |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 大脳皮質 / 運動領野 / 前頭前野 / 大脳基底核 / 運動制御 / 行動発現 / ジストニア / 変異マウス |
研究概要 |
ジストニア、特に特発性捻転ジストニアのモデルに相当すると考えられる変異マウスwriggle mouse sagami (WMS)の姿勢・運動障害は、plasma membrane Ca^<2+>-ATPase isoform 2(PMCA2)をコードする遺伝子(単一常染色体劣性遺伝子)の変異により発現する。本研究では、高次運動中枢として知られる大脳基底核と小脳の神経活動に注目して、WMSの脳内病態生理を神経解剖学的、神経生理学的、および行動学的手法により明らかにした。 大脳基底核:WMSでは、線条体と黒質においてドーパミンD2受容体の発現が特異的に減弱し、この受容体の選択的アゴニストを投与すると、不随意運動(特に振戦、捻転、姿勢異常)が改善された。これらの所見から、WMSでは、線条体におけるシナプス前ドーパミンD2受容体の低下により、大脳基底核の間接路を介して脚内核(霊長類の淡蒼球内節に相当)の活動性が変化し、その結果、大脳皮質-基底核ループ回路の活動異常によって四肢や体幹の運動性が充進し不随意運動が惹起されるという可能性が示唆された。 小脳:WMSでは、小脳皮質のプルキンエ細胞や小脳核に、ドーパミン合成に関与する酵素であるチロシン水酸化酵素の発現が観察され、多数のプルキンエ細胞がドーパミンを産生している可能性が示唆された。また、細胞外記録法によりプルキンエ細胞の活動を記録したところ、その自発発火の頻度がWMSにおいて顕著に低下した。同様の所見は、小脳のスライス標本を用いたin vitroパッチクランプ記録によっても得られており、登上線維刺激や電流注入に対するプルキンエ細胞の応答性が著しく低下していることを確認した。すなわち、WMSでは、プルキンエ細胞の活動性低下により小脳核ニューロンの活動性が亢進した結果、大脳皮質-小脳ループ回路の活動異常によって四肢や体幹の運動性が亢進し不随意運動が惹起される可能性が示唆された。
|