研究概要 |
(1)FKBP38ノックアウトマウスにおいて、神経突起伸長異常の詳細な解析をした。 FKBP38ノックアウトマウスにおいて、異常な突起伸長を示す神経細胞が認められる時期および領域、細胞の種類などを特定した。様々な種類の神経突起の異常が認められた。例えば脊髄の分化した神経細胞の走行を観察したところ、背側の神経繊維が異常に伸長し、左右で交叉して反体側に伸びている。FKBP38ノックアウトマウスの中枢神経系の様々な領域において、異常のある神経細胞の種類、分化段階、領域を特定した。神経細胞の分化マーカーやニューロフィラメントの抗体などの、ilet1, MAP2, TUJ1, Nestin, SMI35, SMI52, CR50, calbindin, calretinin, Tbr1, Pax2などを用い、どの領域で、どの分化段階の、どの種類の神経細胞に異常が出ているのか、組織免疫染色にて詳細に解析した。 (2)FKBP38ノックアウトマウス細胞を用い、Protrudinの発現パターン、膜輸送の異常を検討した。 FKBP38は膜シャペロンであるため、結合分子の細胞内局在や活性を変化させている可能性が予想された。よって結合分子のProtrudinの局在や膜輸送における活性について検討した。異常の認められた神経細胞について、Protrudinの発現パターンを解析する(Protrudinは細胞内膜成分を輸送するため、特徴的なゴルジから突起先端への発現パターンを示す)。また、ProtrudinはRab11やSNAREタンパク質と結合することにより膜融合を促進するが、FKBP38ノックアウトマウス細胞抽出液を用い、Protrudinとそれらの膜融合関連分子との結合や細胞内局在の異常を解析した。また、FKBP38ノックアウトマウス細胞抽出液中のProtrudinに関して、コントロールマウスと比較して翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化、安定性)に異常がないか検討した。
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