研究概要 |
本年度は2テーマについて取り組み、以下の結果を得た。 1:DPPCと部分フッ素両親媒性物質(F8C50H、F8C5PC)2成分系のLanmui単分子膜特性 DPPC/F8C5OH,DPPC/F8C5PC系における、表面圧-面積、表面電位-面積等温線が2成分の組成の関数として20℃、0.15MNaCl上で測定した。2成分混合による表面正則混合を仮定して,2成分の崩壊圧と組成の関係より、Joos式を用いて相互作用パラメーターと相互作用エネルギーを計算した。その結果、正の共沸混合と負の共沸混合の相図が得られた。FM画像とBAM画像より、F8C5OHとF8C5PCは両系において秩序だったマイクロメーターサイズの固体膜DPPCドメインを溶解させる。しかしながら、ナノメータースケールにおいてDPPCと部分フッ素化合物が部分溶解或は相分離がAFM解析により明らかとなった.特にF8C5OH/DPPC系においてトリスキャリオンの形状が発見された。これら結果は、1:部分フッ素化合物はDPPC単分子膜を流動化させる。2:これらの化合物はビオメディカル分野における革新的応用の発展に寄与するであろうことを示唆する。 2:鎖長の異なる炭化水素スペーサーを持つ新規フッ化両親媒性物質の単分子膜挙動 4種のCnBP(FCl4)_2(n=2,6,10,14)は安定なLangmuir膜を形成することを確認した。下相液が純水の場合、単分子膜の極限面積はスペーサー長に依存し、スペーサー部分が親水部として働くことが明らかとなった。一方、下相液をNaCl水溶液とすると、NaCl濃度に依存し著しい単分子膜の凝集効果を示した。以上よりNa^+とCl^-がスペーサーの構造変化を誘発することを示唆する。また温度変化により、一次の相転移挙動を示した。それらの熱力学量は全て負の値を示し、短スペーサーの場合エントロピー的に無理な充填状態であることが明確となった。更にこれらの結果はFM、BAMの形態観察においても支持された。更にこの説明はCnBP(FC14)_2化合物の疎水部分に相当するFC14脂肪酸の単分子膜物性、BAM,FMの形態学観察の類似性により支持された。
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