研究概要 |
研究目的 運動に伴い骨格筋内で変動する新規なタンパク質を見出すことを目的とし、マウス水泳運動モデルを用いて、腓腹筋由来の総タンパク質について、2次元電気泳動法および質量分析法(プロテオーム解析)によって解析を行った。 研究方法 C57BL/6Jマウス(オス,4週齢)を水泳運動実施群(40匹)と対照群(10匹)とにランダムに分けた。水泳運動処方はZhou M.らの方法を用い、寒冷刺激を与えないように35℃に水温を保った。 研究成果 150分間の水泳運動に伴い2次元電気泳動ゲル上で量的に顕著に減少したスポットの1つがexpressed sequence AI854635と同定された。ドメインサーチを行ったところ、C2H2型zinc finger構造が13個含まれており、C2H2 zinc finger型転写因子と示唆されたが、細胞内機能は明らかでなかった。 AI854635 mRNAの臓器別発現量(非運動群)を解析した結果、腓腹筋(速筋)、足底筋(遅筋)、全脳、胸腺が他臓器と比べて、多かった。 水泳運動(0,15,30,90,150分)を行ったマウスの腓腹筋から個体別にTotal RNAを抽出し、MyoDファミリーとAI854635のmRNA量を比較した(n=3)結果、90分後にmyogeninが増大し、AI854635は150分後に減少した。 筋原細胞C2C12を細胞分化誘導し、mRNAの経時変動を調べた結果、myogeninは筋管形成に伴い20時間後から増加し、AI854635はそれに先立ち30分後から増加した。この結果より、AI854635は筋原細胞分化に密接に関与する新規の因子と考えられた。
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