研究概要 |
本研究では,新しいテスト理論である項目反応理論(IRT)と動画データベース技術を適用して,高齢者の自立した日常生活活動を営むための生活能力と健康つくり運動プログラムを実施するための運動能力を測定する動画による質問を用いた適応型コンピュータテストを開発することを目的とした.そのための検討課題として,1)動画による質問項目を用いたテストを作成する,2)項目反応理論(IRT)に基づくテスト項目特性値分析から適応型テストを作成する,3)動画検索機能とテスト項目特性値をデータベースに搭載したコンピュータテストを作成し,妥当性を検証した. 平成18年度では,試作された生活体力の適応型コンピュータテストの実用的な妥当性を検討した. 対象は運動教室へ参加する60歳以上の高齢者男女計244人であった.パソコンに搭載したコンピュータテストを用いてデータを収集し,交差妥当性と使用による妥当性を検討した.また,運動教室の効果を体力,日常生活活動,運動成就の変化からも使用による実用的な妥当性を検討した. 3箇所の運動教室でコンピュータテストを使用し,3ヶ月間および6ヶ月間の運動教室プログラムの前後で測定した. 自立した日常生活行動のために高齢者の生活体力の適応型コンピュータテストでは,74の動画質問による日常生活活動テスト項目が試作された. 運動プログラムを実施するための高齢者の運動能力の適応型コンピュータテストでは,54の動画質問による運動成就テストが試作された. 項目反応理論に基づきテスト項目特性値,情報量,テスト特性値,テスト情報量を検討した. 文部科学省新体力テスト(65〜79歳対象)6項目:握力,上体起こし,長座体前屈,開眼片足立ち,10m障害物歩行,6分間歩行の体力得点,および体力テスト合計点を妥当基準として,適応型テストの妥当性を検討した.
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