研究課題/領域番号 |
17651003
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古谷 研 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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研究分担者 |
武田 重信 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20334328)
神田 穣太 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (60202032)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 窒素固定 / 共生体 / Richelia intracellularis / 栄養塩 / 鉄 / ナノシアノバクテリア / 北太平洋 |
研究概要 |
2005年5-6月の「みらい」航海における東経149度上の34゜N-2゜Nから得られた試料の解析と、2006年9月の「淡青丸」航海でフィリピン海西部から単離された窒素固定者培養株を用いた実験的解析を行った。R.intracelularis共生体は28゜30'N-31゜10'Nにかけて顕著に多く、海水中の全窒素固定量はこの海域から北赤道海流域にかけてが最も高かった。28゜30'N以南では2-10umの単細胞性シアノバクテリア(ナノシアノバクテリア)が主たる窒素固定者で、海域によって窒素固定者が異なることが明らかになった。我々が単離した株は、夜間窒素固定を行い、その日間固定量は1.2-1.8nmolN cell^<-1>と、共生体よりも一桁以上低い活性であった。この値を東経149度上に当てはめると、ナノシアノバクテリアは、現存量が共生体よりも大きいことから28゜30'Nから北赤道海流域で主要な窒素固定者となっていたものいえる。 海域による窒素固定活性の違いは、他の植物プランクトンとの栄養塩競合を介して、栄養塩濃度の分布に影響を及ぼすと考えられるため、東経149度上において高感度検出法によりナノモルレベルの栄養塩濃度測定を行った。硝酸塩+亜硝酸塩(N+N)濃度は研究海域全域で20nM以下と海域間での差はなかった。一方、溶存反応性リン酸塩(SRP)濃度は、北赤道海流の北側で10nM以下と低く、南側では40-80nMと有意に高かった。これは、北赤道海流の北側では活発な窒素固定活性によりSRPがほぼ枯渇状態になったのに対して、南側では窒素固定活性が低いため、SRPが消費され尽くしていなかったためである考えられ、窒素固定者の分布の偏りが、SR濃度の海盆スケールでの地理分布構造に寄与していると結論された。
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