研究課題/領域番号 |
17651059
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ナノ構造科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松村 道雄 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (20107080)
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研究分担者 |
辻埜 和也 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, リサーチアシスタント (40403125)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | シリコン / 細孔 / 触媒 |
研究概要 |
我々はこれまでにシリコンウエハ上に銀微粒子を置換めっき法で析出させ、フッ酸と過酸化水素水の混合液に浸すことにより、直径100nm程度の細孔が形成されるという新現象を発見していた。その詳細を解明することを目指し、特に処理溶液の組成の影響について調べ、以下の結果を得た。 (1)過酸化水素濃度が高いときには、銀粒子がシリコンの結晶方位<100>方向に沿って沈み込みながら、接触面のシリコンの溶解が起こり、<100>方向に異方性を持った孔が形成することがわかった。また、濃度が高くするほど、孔形成速度が速いこともわかった。 (2)過酸化水素濃度がとくに高いときには、銀粒子の沈み込みにより形成される異方性の孔以外に、ウエハ表面全体に約10nm径以下の孔径のナノ多孔質層が形成された。このことから、粒子とシリコン接触面では、シリコンへの正孔注入が起こっていると考えられる。すなわち、正孔はシリコン内部を拡散できるために、接触面から表面まで拡散した正孔がシリコンの酸化溶解を起こし、ナノ多孔質層を形成したのだと考えられる。また、粒子との接触面においては、鏡像力が働くために、正孔が接触面に引き寄せられ、局所的な酸化溶解が起こることが考えられる。その際に、表面の結合状態の違いから、正孔による酸化が最も起こりやすい<100>面が優先的に酸化溶解するために、<100>方向への異方性をもった孔が形成すると結論された。 (3)過酸化水素濃度が低いときには、孔形成速度が低下するのみならず、孔形成方向の異方性がなくなることがわかった。これは、銀粒子の電極電位が十分に正にならないために、シリコンへの正孔注入が十分に行なわれず、接触面での反応にゆらぎが生じていることが原因だと考えられる。 (4)過酸化水素を加えない場合でも、孔は形成されるが、速度は遅く、方向は不規則であった。この場合、脱酸素剤を添加すると孔形成が見られなくなることから、溶存酸素が孔形成反応の酸化剤として働いていること結論された。
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