研究課題/領域番号 |
17651071
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ナノ材料・ナノバイオサイエンス
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高田 潤 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (60093259)
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研究分担者 |
藤井 達生 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10222259)
中西 真 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (10284085)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 酸化鉄 / バクテリア / 非晶質 / ナノ粒子 / マイクロチューブ / 特性 / 鉄酸化細菌 / 鉄細菌鞘 / 浄水 / 地下水 |
研究概要 |
近年鉄細菌を用いた「バイオ浄水法」は、地下水の浄水法として実際に採用され、環境に優しい浄水法と注目されていて、今後急速に全国に広がると予想されている。このバイオ浄水法では、レプトシリックス鉄細菌が地下水中のFeイオンを体内に取込んで、細菌の体の周りにパイプ状酸化鉄鞘などの無機化合物を常温で生成し、濾過槽上部に褐色沈殿物を形成する。しかし、現在この酸化鉄鞘の詳細が全く不明かつ分離・回収が困難であるため、沈殿物を埋立廃棄しているのが現状であり、バイオ浄水法の利点が十分に活かされていない。 そこで本研究では、先ず、鉄細菌が常温で作るパイプ状鉄細菌鞘酸化鉄やそれを構成する微細な酸化鉄微粒子を詳細に検討し、酸化鉄の種類、化学組成、微細構造を調査した。次に、浄水沈殿物からの分離・回収方法と鞘の増殖条件を検討した。更にパイプ状鉄細菌鞘酸化鉄の特性と再利用を検討した。その結果、欧文誌への論文1件と特許出願1件の成果を得た。 得られた結果を要約すると以下の通りである。 (1)パイプ状酸化鉄鞘は中空円柱状のマイクロチューブの形態を呈し、その内径と外径の平均値はそれぞれ1.1および1.4μm、長さは50〜200μmであることが明らかとなった。鞘の壁の厚さは平均0.15μmと非常に薄い。 (2)このパイプ状酸化鉄の結晶構造は、21-ferrihydriteの構造に似ているが、より結晶性が低いことが判明した。 (3)パイプ状酸化鉄鞘の壁は100nm以下の超微粒子から構成されており、それぞれの微粒子の組はほぼFe:Si:P=80:15:5であることを見出した。 (4)このパイプ状酸化鉄はspin-glass的な磁気特性を示すことが明らかになった。 (5)バイオ浄水沈殿物からの分離・回収方法を確立し、高純度サンプルを得ることに成功した。 (6)このパイプ状酸化鉄鞘を加熱することによって、ヘマタイトへの変化と赤色顔料としての利用の可能性を見出した。
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