研究概要 |
部分構造論理の意味論を量子力学の基礎からアプローチする時、quantale QとQ-right-Module M=(M,・,1)からなる体系(M,Q)を考える。Mがヒルベルト空間の閉線形部分空間からなる束とは順序同型でなら、(M,Q)をquantum体系とよぶ(Pedro Resende 2001)。他方、Sadrzadeh(2006)は、MとQの各々のsup-endomorphosmsよりなる対をsystem-endomorphisumとよび、その集まり{(fM,fQ)}を組み入れた三つ組み(M,Q,{(fM,fQ)})を認知体系とよぶ(Sadrzadeh, 2006)。認知体系を意味論とするepistemic logicにより、muddy childen paradoxに関する認知更新状況が形式化された。八杉・小田(1998)は、ゲーム論理に関する金子・長嶋(1995)を応用して、two wise girls puzzleを説明した。北村・中戸川・深山(2007)は、この説明をCFLにより再構成した。 J.L.Bell(2007)は、時系列に沿って展開する遷移の構造と各段階の状態を記述する観測エージェントの知識状態とを切り離したうえで、cover schemeと前層で適切に関蓮付け、古典・非古典の違いによらず統一的説明を与えるpreorder P=(P,≦)の部分集合SがT⊆Pのsharpningであるとは、(∀s∈S)(∃t∈T)(s≦t)の時である。各p∈Pにp↓={q:q,≦p}の部分集合の族C(p)(pのC-coversとよぶ)を対応させる写像CがP上のcover schemeといわれるのは、q≦pの時pのどのcoverに対してもqのcoverがそのsharpeningとなる時である。P上のcaver schemes全体をCov(P)とかく。C,D∈Cov(P)に対しぐ半順順序C〓Dは(∀p)(C(p)⊆D(p))で定義できる。Cov(P)は〓で元備束となる。さらに、Cov(P)に積★を次のように定義できる。C,D∈Cov(P)に対し、★D)(p)は∪Ts(s∈S)という形をしたp↓の部分集合の全体からなる。ここにS∈C(P)で、s∈S,Ts∈D(s)。Cov(P)は★でquantaleとなる.C∈Cov(P)に対し、P上の前層KがK(p)=∩{K(s):s∈S}(p∈S,S∈C(p))をみたす時、KはCとcompatibleという。[Pを事象のcausal setとみなすと、p,q∈Pに対しp≦qをpの未来光錘の中にqが入っている、と解釈することができる(Fotini Markopoulou, 1999).J.L.Bell(2007)は、causally evolving algebras of observablesとして、Pの上のC^*-代数の前層を導入した。]C∈Cov(P)にcompatibleな前層として、C^*-代数やresiduatedの前層Kを便い分けることにより、cover schemeという構造をとおして、量子力学の(代数的)某礎と部分構造論理の解釈は通低している.quantaleであるCov(P)は、時系列にそって展開する事象の(推移制御の構造の論理をあらわす。他方、C^*-代数、residuated束、Hyting束、ブール束等の前層を使い分けることにより、列展開の段階にあるエージェントの知識状態を、解明しようとする種々の世界の状態に応じて構造化できる。
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