研究課題
萌芽研究
本研究は、近代日本の美術を帝国の観点から研究したものである。例えば官展制度は、日本内地に文展・帝展が、朝鮮半島には鮮展が、台湾には台展・府展が、そして満洲には国展が設置され、帝国の美術ネットワークを形成していた。植民地官展には、内地から著名な画家が審査員として派遣されることになっていた。また、東京美術学校をはじめとする内地の美術家養成学校からは、卒業生が指導者として植民地に送り込まれ、現地でその教え子が内地の美術学校に進学することにより、日本の帝国としての権威がますます高まる仕組みになっていた。この研究では、様々な帝国の美術制度について検証するとともに、橋本関雪のような画家に注目し、彼らが帝国の中で果たした役割を明らかにした。特に、2007年にミネルヴァ書房から出版した『橋本関雪一師とするものは支那の自然』は、内地と外地を頻繁に行ききしたこの画家の一生を、帝国の観点を大幅に取り入れつつ分析した。また、近代日本美術に刻印された帝国の姿は工藝にも見ることができる。さらに、このような美術制度のあり方は、台湾を始めとする植民地地域の美術をも規定することになった。
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日治時期台湾美術的「地域色彩」展論文集
ページ: 33-52
ALIF, Journal of Comparative Poetics No.25
ページ: 241-253