研究概要 |
本研究の最終年度である今年度は,研究計画に従って,18世紀イギリスにおけるアフリカ系作家と奴隷制度の全体像を把握するため,引き続き資料収集を行った。一次資料としては,Olaudah Equianoに関する資料として国内で入手困難であったLaurence Harlow,Laurence Harlow,The Conversion of an Indian(1778)やThomas Wilson,An Essay towarid an Instruction for the Indianss(1740)等の文献をBritish Libraryに赴いて調査した。また,二次資料としては,Cohd Kidd,Forging of Races(Cambridge UP,2006)やAllen Dwight Callahan,Talking Book(Yale UP,2006)等の最新かつ重要な関連文献を中心に収集した。 このようにして収集した資料を整理、分析した研究成果の一部は,以下のように発表された。まず,論集『未分化の母体-十八世紀英文学論集』所収の論文「奴隷と不愉快の感受性-サラ、スコット『サー、ジョージ、エリソン』」においては,表題にあげた小説を分析することを通して,18世紀後半において,端的に博愛主義として表れる感受性と奴隷貿易廃止運動を支持する感受性の理想主義的な非社会性に注目した。また,東北英文学会第62回大会シンポジウム「18世紀再考-「異端なるもの」の行方」において,「教化と自己成型-Olaudah Equianoの「英国化」」と題して,Equianoの自伝執筆時点における政治的および宗教的レトリカル、ポジションを手がかりに,彼が「黒いキリスト教徒」としていかに自己成型をしたかを論じた。この発表に基づいた論文は『愛知教育大学外国語研究』第41号に掲載された。
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