研究課題/領域番号 |
17652039
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
生田 奈穂 東北大学, 大学院国際文化研究科, COEフェロー (20374986)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 言語学 / 神経科学 / 脳・神経 |
研究概要 |
まず前年度行ったSOV,及びOSV文を理解する際の脳活動に関する実験結果の考察をさらに進めた。まず、統語処理に関与すると言われている左側下前頭回がSOV、OSVともに二番目の名詞句で強く活動したことから統語構造の一部が主語と目的語の二つが揃った段階で構築されると考えられる。次にやはり統語処理に関与すると言われている左側被殻と複数の構成素から一つの意味を理解する際に活動する左側下側頭回前部が文末で賦活化したことから、文全体の統語構造と文の命題は文末で作られると考えられる。 次に今年度は一文の処理が完結したあとで再びその構造を修正し新しい構造を再構築する際の脳活動に関する実験を行った。本研究の目的は再分析の処理に関与する脳領域を特定すること、及び再分析を含む文と統語構造が複雑な文とが同一の脳領域で処理されるのか否かを特定することである。本研究では日本語を用い、同じ単語で構成される等位接続文(コントロール文)、目的語関係節文(統語構造が複雑な文)、再分析文の三種類の文を理解する際の脳活動を撮像した。各文は文節毎に呈示し、続けて名詞と動詞のペアから成るprobe questionを提示した。被験者には名詞と動詞のペアがすでに呈示された文の意味内容と照らし合わせて主語と述部の関係として成立するかどうかをボタン押しで答えてもらった。その結果、各条件とNull課題との比較では両側舌状回、右側小脳、両側下前頭回、左側中側頭回、補足運動野、右側角回を含む類似した領域が賦活化していた。しかし再分析を含む文と目的語関係節文との直接比較では左側上前頭回の内側面と右側頭頂間溝が賦活化していた。左側上前頭回の内側面の活動はオランダ語によるStowe et al.(2004)の結果と一致するものであった。以上の結果から統語構造が複雑な文とは別に再分析処理に固有の脳領域が存在する可能性が示唆された。
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