研究概要 |
今年は,研究の最後の年度として,研究成果のまとめと発表に重点を置いた. 大きな研究課題の一つとして掲げたのは「二つの単語が反義語と感じられるのはどういうときか」という問いであった.これに関しては,「方向性の対立と肯定・否定の対立という二つの認知的な対立のいずれかが感じられるときである」という答えを得た.この立場から反義語の再分類を行い,従来の分類(相補性や関係性に基づくもの)よりも有意義な分類ができることが示された. また,もう一つの課題である「反義語らしさを決めている要因は何か」という問いに関しては,「方向性と肯定・否定性が語の意味に顕著な形で含まれているかどうかによる」,という答えを得た.この点に関しては,日本語と英語における実験を行うことによって検証することができた.具体的には,語の意味の中に反対方向の方向性がはっきりと含まれていると感じられる単語ペアほど,また,肯定的か否定的かがはっきりしている単語ペアほど,意味が反対であると判断される度合いが高いことが示された. これらの成果は,学会発表論文と雑誌論文,さらには未発表の論文にまとめた.また,関連する問題を多く含む類義性に関する論文も雑誌に出版した. 研究の過程で作った反義性に関する文献リストなどの資料はwebpageに公開している.
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