研究課題
萌芽研究
1.バイチュムの解読・翻字前年度に引き続き、既刊のバイチュム翻字本(現代タイ文字版)2冊およびタイ国立図書館より入手したマイクロフィルムのコピー数点を比較検討しつつ、タイ国立図書館所蔵バイチュム49通の現代ラオ文字への翻字を試みた。ただ、上記バイチュム翻字本2冊の間にはかなりの不一致が認められたうえ、理解困難な語彙があまりにも多く、現時点ではこれらを現代ラオ文字版翻字本として刊行することは時期尚早と思われる。今後さらにタイ国立図書館の原本にあたり、翻字の精度を高めていく努力が必要である。また、バイチュムに頻出する地名の翻字については、文書にあたるだけではなく、現地での確認作業が不可欠であり、本研究終了後も現地調査を継続して行っていきたい。2.ラオス・ホアパン県における現地調査今年度はホアパン県のシェンコー郡、ソップバオ郡、サムタイ郡で現地調査を行った。新たな知見が数多く得られたが、その中で最も興味深かったのは、ラーンサーン王国期建立と見られる3基の仏塔が同王国とベトナム勢力(これがハノイ政権を指すのか、ベトナム北西部の黒タイ族勢力を指すのかは今後さらに検討する必要がある)との「くにざかい」を示していたことが明らかになった点である。ホアパン県の県庁所在地サムヌアとラオス=ベトナム国境線の間にはマー川という比較的大きな川が同国境線と平行して北西から南東に流れているが、そのマー川から10〜15kmほどサムヌア側へ入り、マー川にほぼ平行してそれぞれ10〜20km間隔で仏塔が3基残存している。これらは現代の国境線とは性格が異なるとはいえ、ラーンサーン王国期における「くにざかい」の存在を示す具体的な事例として興味深い発見といえる。
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Local Knowledge and Its Potential Role for Sustainable Agro-Based Development in Lao PDR
ページ: 74-81
Local Knowledge in the Past, Present and Future
ページ: 103-107
東南アジア研究 44/3
ページ: 418-421