研究課題/領域番号 |
17653001
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 千葉大学 (2006) 北海道大学 (2005) |
研究代表者 |
松村 良之 千葉大学, 法経学部, 教授 (80091502)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 権利意識 / 法意識 / 川島武宜 / イエーリング / 法行動 / 社会的態度 / 心理測定法 / 社会調査法 |
研究概要 |
「権利」という言葉についての反応について、研究代表者手持ちのデータによる2次分析を続行した。昨年度の分析では、「権利」という言葉に対する反応は多次元的であり、少なくとも、崇高性、身につけているか(認知の枠組みとしての権利)、自己利益道具主義、行使の正当性という4つの次元が見いだされたと暫定的に結論づけたが、今年度はサンプルのサプセットを何種類かとり、そして因子分析の手法を、主因子法だけではなく、主成分法、重み付けのない最小自乗法、一般化した最小自乗法、アルファ因子法、イメージ因子法などを採用し、また、因子の回転も、バリマックス法のみならず、直接オプリミン、エカマックス、クオータマックス、プロマックスなどの方法を試みた。そうすると、因子として崇高性と行使の正当性は因子として分化しない場合もかなり存在する。また、因子としての認知の枠組みとしての権利にれは、川島の権利意識論では暗に仮定されていたし、人間の認知発達あるいは認知言語学の立場でも仮定できる因子である)は、場合によっては独自の因子としては析出してこない。つまり、非常に安定的に存在する因子は、自己利益道具主義と権利の崇高性(場合によっては、行使の正当性因子を吸収する)である。なお、人間関係の尊重あるいは共同体の尊重という因子が権利意識の外乱要因として一貫して析出される。これらの結論は、法学会の権利についての学説史的議論にほぼ一致していると言える。なお、インドネシアデータ(便宜的サンプル)でも同種の分析を行ったが、そこでは、人間関係の尊重という日本では外乱要因が、権利の崇高性因子に吸収される。このことは日本人の権利把握が普遍的ではないことを示唆する。以上の知見によって権利意識の測定尺度の方向性が示された。
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