研究概要 |
本研究の目的は、医療・福祉分野におけるサービス従事者である看護師が職務に必要な知識やスキルを獲得する過程を、「経験」という点から明らかにし、サービス・マネジメントのあり方を考えることを目的としている。具体的には、次の3点を検討した。 (1)看護師はどのような知識・スキルを持っているか (2)看護師はどのような経験を通して、知識・スキルを獲得したか (3)看護師は、どのような仕事の信念を持っているか 研究は、次のステップを踏んで実施された。 (1)ステップ1:札幌市内の大学病院、公立病院、民間病院に勤務する優れた看護師(各2名、合計6名)にインタビュー調査を行い、彼女らが持つ知識・スキル、およびそれを獲得した経験について明らかにした。インタビュー内容は、対象者の了解をもらった上で録音し、ファイルとして記録した。得られたデータをグラウンデッド・セオリー(Glaser and Strauss,1967;Struass and Cobin,1998)を使って分析し、知識・スキルの構造、および経験学習プロセス、職場のサービス・マネジメント体制を明らかにした。 (2)ステップ2:札幌市内の大学病院、公立病院、民間病院に勤務する、経験10年以上の看護師117名に対して、自由記述式の質問紙調査を実施した。質問票では、初期(病院に勤務してから5年目まで)、中期(6年〜10年目)、後期(10年目以降)毎に、どのような経験をして、そこから何を学んだか、また、仕事をする上でどのような信念を持っているかを記入するように依頼した。得られたデータはファイルに入力し、内容分析の手法を用いて分析した。具体的には、経験、知識・スキル、信念の関係性を分析し、サービスマネジメントのあり方について検討した。 (3)ステップ3:18年3月にシドニーで開かれたカンファレンス(Knowledge Management : The key to innovative health management programs)に参加し、上記の分析結果について参加者と意見交換をした。
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