研究概要 |
この研究は代数幾何学,可換環論,組み合わせ論に深く関係しており,国内外に関係する研究者は多い.今年度は九州大学での研究集会「高次元代数多様体とベクトル束の代数幾何学」,兵庫県城崎大会議館での代数幾何学シンポジウムや佐賀大学理工学部でのCastelnuovo-Mumford量についての研究会などに参加して,これまでの研究成果の発表や意見の交換を行って研究の促進を図った.このほか,国内の関係する研究者を招待し講演を依頼した.また,この研究に関連した書籍が毎年多数出版される.今年度は代数幾何学的観点だけでなく,整数論や群論的観点からも研究するので,それを選択して購入し研究に利用した.可換環論および組み合わせ論と関係した部分を調べると共に,計算機を用いて扇の分類問題に関する計算など,具体的な計算も行った. トーリック多様体と扇の理論から出発して,正則関数の実数ベキまで許す代数幾何学の世界が存在するのか否かを研究した.トーリック多様体の観点から見ると,すでにそのような世界を予感させられる事実があるが,一般には理論の展開に困難が多いこともわかった.しかし,実扇の場合については複体について重要な結果が得られた. アンプル直線束を指定した射影的代数多様体のコホモロジー群と,対応する次数付き環の局所コホモロジー群の関係については古典的に知られているが,この関係を射影的トーリック多様体と凸多面体の言葉で書き直す研究を行った.
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