研究概要 |
数理物理学と数学,特にその幾何学の領域において,非可換構造や高次のコホモロジーの役割を要求する目覚しい相互作用が起きているように見える.たとえばミラー対称性をはじめとする弦双対性を説明するには,空間概念の革命的な拡張が必要と思われる.「原始形式の理論」は,「非可換多様体」に対する「周期」の理論であって楕円積分論の自然な拡張となる理論,であると期待される.これは新しい空間概念への一歩となると考えている. 本年度も引き続き,特異点理論で80年代中旬に開発された「行列分解」のアイデアを用いて,特異点に対して代数的に定義される導来圏の解析をおこなった.本研究課題の成果は,論文「Categories of graded matrix factorizations for regular systems of weights with $\epsilon=-1$」(arXiv:07080210)(梶浦宏成-齋藤恭司-高橋篤史),論文「Towards categorical construction of Lie algebra」(研究代表者),論文「Weighted Projective Lines Associated to Regular Systems of Weights Dual Type」(arXiv=0711.3907)(研究分担者),などとしてまとめられた. また,RIMS研究集会「Representation Theory of Finite Dimensional Algebras and Lie Theory」およびRIMS研究集会「Categorical Aspects of Algebraic Geometry in Mirror Symmetry」を開催し,国内外の多くの研究者との研究交流を行い,研究成果を発表するとともに多くの知見を得ることができた.
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