研究課題/領域番号 |
17654019
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (50182647)
|
研究分担者 |
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
代田 健二 茨城大学, 理学部, 准教授 (90302322)
中川 淳一 新日本製鐵株式会社, 技術開発本部, 主幹研究員 (60373776)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 逆問題 / 高速数値解法 / 産業数学 / 観測 / 漸近展開 / 熱伝導現象 / コーシー問題 / 熱方程式 |
研究概要 |
製鉄プロセスなどの産業分野でプラントや装置などの内部の状態や欠損の状態を境界観測で決定するという逆問題は、現実に進行中の操業を安定かつ安全に制御する上で重要である。そのためには観測データをリアルタイムで活用して内部状態を推定する高速計算手法が必要である。そのような要請に答えるために、逆問題の専門家である研究代表者が数値解析の専門家と産業界の研究者を研究分担者として研究を行った。主な困難は以下の通りである:扱う対象が空間的に3次元であるなどの理由で従来型の数値解析手法では、計算時間が長すぎて現場からの要求に答えることが困難でり、さらに従来の数値手法では、観測精度が改良できることを前提に誤差解析などの理論面での研究もなされているが、観測精度の抜本的な改良はただちに望むことはできず、現状で利用できる粗いデータに見合った数値計算結果を出すことが現実的である。本研究計画では特に製鉄などの産業における製造過程の制御のために必要な非破壊検査手法に関連した逆問題に関して、適切な近似式を提案して実データにも対応可能な高速度数値手法を創出した。その際の基本的な考え方は漸近展開であり、厳密解との誤差評価も可能である。それによって、データの精度に見合った数値計算の精度の範囲内で高速な計算法を考えた。そのような逆問題として、非定常熱方程式の初期値ならびに境界の一部での温度分布を、境界の別の部分でのコーシーデータから決定するいわゆる非適切なコーシー問題と内部の境界形状の決定逆問題を主に考察した。現段階では数値実験の範囲で計算スピードと実用化のための簡便さ、ならびに熱伝導現象に関連した他の逆問題解析のための利便性という3つの観点から良好な方法であると判断している。また現実の熱逆問題の物性などから一次元近似のモデルは数値計算結果から十分受け入れられるものであるが、その数学的な正当化についても考察した。
|