研究課題/領域番号 |
17654052
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
酒見 泰寛 阪大, 助教授 (90251602)
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研究分担者 |
高橋 義朗 京都大学, 理学研究科, 助教授 (40226907)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 電気双極子モーメント / フランシウム / 時間反転対称性 / SUSY |
研究概要 |
フランシウム原子の永久電気双極子モーメント(EDM)探索のための実験装置の開発を行った。時間反転対称性の破れ、そして素粒子物理学における新しい対称性:超対称性とその破れの機構を調べるために、EDMの探索精度を10^<-28>以下に向上させる必要がある。その実現にはフランシウム生成収量をあげ、かつ、捕獲効率を向上させることが鍵である。本研究計画では、その鍵となる実験技術:加速器を用いたフランシウム原子の生成、および、レーザーを用いた捕獲・冷却技術の確立をめざす。 フランシウム原子は、加速器からの^<18>Oビームと金の標的原子核との融合反応を用いて生成し、レーザートラップ装置を用いて冷却・捕獲する。局所的に捕獲されたフランシウム原子のEDMを光学的な方法(ファラデー回転の測定)を用いて決定する。時間反転対称性の破れ、そして必要な実験装置の構成は、(1)大強度の^<18>Oビームを供給するイオン源、(2)ビームライン、(3)表面イオン化器、(4)磁気光学トラップ装置、(5)EDM測定装置の5つの部分で構成される。今年度の予算において、(2)ビームライン、(4)磁気光学トラップ装置の開発を進めた。 ビームラインは、フランシウム生成のための1次ビーム:^<18>Oを表面イオン化器まで効率よく伝送し、かつ、ビーム分解能・エミッタンス等を診断できるイオン光学系の設計を行った。ビームラインの建設は終了し、加速器からのビームを用いた伝送テストを行い結果、^<18>Oビームが表面イオン化器設置場所までほぼ100%の透過度で伝送できることを確認した。さらに磁気光学トラップ装置の開発を進め、心臓部となるレーザーとして外部共振器半導体レーザーをマスターオシレータとし、出力光をテーパーアンプにいれて増幅するMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)構成にした。各機器の製作は進んでおり、トラップに必要な高出力レーザー光(1W程度)が得られることを確認中である。また磁気光学とラップへのフランシウム原子捕獲効率を高めるために、冷却バッファーガスを用いた原子冷却の原理実証を並行して進めている。 その開発現状を国際ワークショップ:RIBF2006(RI Beam Factoryにおける核物理、理研にて開催:2006年3月)、及び理研セミナー(理研・原子物理研究室にて2006年3月)にて報告・議論を行った。またビームラインに設置してフランシウム原子の収量、およびビーム形状を測定するための検出器に関して、その開発研究と将来の展望を議論するための研究会(RCNP研究会「マイクロパターン検出器の開発と展望」、大阪大学・核物理研究センターにて開催、80名程度が参加)を主催した。
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