研究課題
萌芽研究
ダイヤモンドは、5.5eVのバンドギャップを持つ半導体である。そこへ、ホウ素をドープしホールのキャリアを導入すると、ホウ素濃度=3x10^20cm-3で、金属-絶縁体転移を起こし、さらにキャリアを導入すると低温で超伝導が出現する。我々は、良質な試料を得るため、そして結晶方位と超伝導特性の関係を調べるため、(111)および(100)成長の単結晶薄膜の合成に成功した。(111)薄膜は、ホウ素濃度の上昇に伴い、超伝導転移温度が上昇し、8x10^21cm-3付近で、Tc onset=11.4Kの高い超伝導開始温度を示した。一方、(100)薄膜は、ホウ素濃度の上昇につれ超伝導転移温度は緩やかに上昇するものの超伝導は抑制されていて、(111)薄膜の半分程度の超伝導転移温度しか示さなかった。この違いは、どこから来るのであろうか。光電子分野やX線吸収スペクトル、ラマン散乱、NMR測定、バンド計算から、次のように検討した。NMR測定によると、ホウ素には二つのサイトがあり、一つは対照的なサイトにある単独のホウ素、もう一つは電場勾配があるサイトでおそらく水素とペアーを作っているホウ素である。CVD成長では一般に、ダイヤモンド薄膜に結晶成長時に、水素が取り込まれる。この水素は基本的にはインタースティシャルなサイトに居るものと思われるが、ホウ素が近くにあるとペアーを作る。バンド計算によると、このように、ホウ素水素ペアーを作ると、キャリアを打ち消していまい、ダイヤモンドバンドにキャリアを供給しない。そして、単独に置換サイトに取り込まれたホウ素だけがキャリアを導入すると考えられる。そこで、NMRスペクトルから単独のホウ素の割合を求め、これを有効なキャリア数と考えて、(111)薄膜と(100)薄膜の超伝導転移温度のホウ素濃度依存性をプロットすると、なんと一つの曲線に一致することが分かった。これらのことから、(111)および(100)薄膜の超伝導転移温度の違いは、有効なキャリア濃度の違いに起因すること。さらに、より高い超伝導転移温度を実現させるためには、水素の導入を抑制し、単独のホウ素の濃度を増加させることが重要であるものと思われる。
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