研究概要 |
本研究では,有機ELと有機FETが一体化したデバイスである有機発光性トランジスター(OLFET)の構築について検討を行った。特に,100%のPL量子収率を有するRubrene:TPPy共蒸着膜を用いたOLEFET素子では,L_<SD>=1mm,V_g=0Vで最も高いEL量子効率(η_<ext>):〜0.5%が観測され,更に低仕事関数金属をS-D電極に用いた場合,η_<ext>〜1%に達する量子効率を達成した。そして,OLEFET素子のEL作動特性の解析から,V_s,V_d,V_gの各電位関係がキャリアバランス因子に大きな影響を及ぼすことが分かった。さらに,OLEFET素子の詳細なEL発光メカニズムを解明するために,TPPy活性層内部にRubreneドープ層を極薄膜(d=10nm)の厚みで挿入し,OLEFET素子のJ-V-L特性及びELスペクトル解析を行い,EL発光サイト及びキャリア再結合サイトの解析を行った。その結果,ゲート電圧に依存せず,ドーピングサイトが電極高さ以下に位置する場合,RubreneからのEL発光が強く観測され,キャリア注入,再結合,EL発光領域がSource-Drain電極の高さ以内(40nm)に制限されていることが明かとなった。局所ドーピング法は有機トランジスターのキャリア伝導サイトの広がりを見積もる手法として極めて有用であることがわかった。また,新規デバイス構造として,微細な縦型電極構造のデバイスについても検討を進め,電流変調,EL変調を確認できた。
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