研究概要 |
本研究の目的は,コウモリなどの生物が行っているエコーロケーション(反響定位)を模倣した超音波位置センサの信号処理部分に光情報処理を導入することである。特に,周波数変調信号を用いて位置精度を上げる場合の相関演算処理を光情報処理により行うことを目標としている。平成19年度の結果を以下(1),(2)に,研究の総括を(3)に示す。 (1)光情報処理光学系の性能評価 Joint Transform Correratorの機能を持つ光学系の現段階での最終型を構築した。本光学系には,(1)レーザ光源,(2)空間光変調器,(3)レンズ,(4)偏光素子,(5)光強度書き込み素子,および(6)光検出素子が必要である。この中で,(1)〜(4)および(6)については計画通りの素子を用いることがでぎた。しかし,(5)の光強度書き込み素子に関して研究当初に計画していた「実時間光強度書き込み素子」が高額であったために入手することができなかった。したがって,現段階では実時間動作させることをあきらめ,光強度書き込み素子としそ写真用フィルムを用いて実験を行った。その結果,種々の画像入力に対し,その相関の程度に応じた相関ピークが,非実時間では出力されることを確かめた。 (2)超音波送受信素子の性能評価 昨年度の段階で入手していた超音波送受信子数種で空中超音波の送受信を行ったが,いずれも狭帯域のため,相関演算の原信号とするに足る信号波形を得ることができなかった。本研究に必要な条件を満たす広帯域送受信子は非常に高額であり,今年度内に入手することができなかった。 (3)総括 本研究は今年度が最終年度であるが,実時間光強度書き込み素子と広帯域超音波送受信素子を入手できなかったことから,本研究の目的である超音波信号の高速処理という目的を達成することができず,成果の発表も行うことができなかった。総括して,3年間では当初の研究目的を達成できなかったが,実験系の基本型は構築できた。今後,必要な素子を追加し,所期の目的を達成したい。
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