研究概要 |
本研究では,資源リサイクルのため,反磁性体であるプラスチックを材質毎に分別する方法を提案し,その有効性を検証することを目的とする,具体的には,落下中のプラスチック粒に,超伝導磁石やパルス磁場発生装置により,強磁場,磁場勾配を与えることで,プラスチック毎の磁化率の違いから異なる電磁力を発生させ,粒の落下軌道を変更することで,プラスチックの分離の実現を目指す.本年度(補欠採択のため平成17年10月研究開始)は,現有の超伝導磁石(JMTD-10T 100FT,ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー)(最大磁束密度10T)近傍で,落下中の粒状のプラスチックに,どの程度の電磁力が働き,軌道変更が可能かを,数値シミュレーションで見積もり,その結果に基づき,超伝導磁石周りに,所要の磁場空間を形成するための電磁コアやコイル,また,パルス磁場(現有の永久磁石の着磁装置の利用を検討)を発生する空芯コイルの設計と試作を進めることを目的とした.また,同時に,落下中の粒状プラスチックの軌道変化を計測するための,計測法の検討も進める. 現時点で得られた成果としては,既存の超伝導マグネットを,集中コイルでモデル化し,その磁場分布からの電磁力を受けながら,自由落下するプラスチックの軌道変化を数値解析的にもとめた.ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレートなどを対象として,1m程度の自由落下の初期に,ボア径0.1mの超電導マグネットの前を通過させることで,最大20mm程度の落下地点の差異が発生することを算出した.この現象の実験的な確認のため,既存の超伝導磁石の調整と,本予算にて購入した高速度カメラを用いた軌跡確認実験装置の構築を現在,急いでいるところである.
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