研究概要 |
多孔性カーボンゲルは,炭酸ナトリウムなどを触媒として,レゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)からゾル-ゲル重合,乾燥,炭素化によって作製される。本研究は,ゾル-ゲル重合過程で超音波を照射することにより,レゾルシノールとホルムアルデヒドから有機ゲルを合成し,凍結(マイクロ波)乾燥,炭化によって,テンプレートを使用せずにスポンジ状の「共連続構造」のマクロポーラスカーボンモノリス(連続したマクロ流路を持つカーボン成型体)を製造する新しい方法を開発し,カーボン中のマクロ構造とナノ構造の階層制御(独立制御)法を開発することを目的とするものであり,得られた主な成果は次のとおりである。 1.ゾル-ゲル重合過程でレゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)水溶液に超音波を照射すれば,ゲル化時間が劇的に短縮し,触媒濃度が高い場合でもメソ細孔特性に優れたカーボンゲルモノリスを作製できることを初めて提示した。 2.ゾル-ゲル重合条件と超音波照射の組み合わせによって,テンプレートを使用することなく,スポンジ状の3次元共連続構造のマクロ細孔性カーボンモノリス(連続したマクロ流路を持つカーボン成型体)の作製に成功した。本カーボンモノリスはHPLC用カラム充填剤としての利用が期待できる。 3.超臨界乾燥や凍結乾燥がカーボンゲルの作製にこれまで用いられてきたが,ゾル-ゲル重合過程で超音波を照射すれば,マイクロ波乾燥を用いても多孔性カーボンゲルが作製できることを明らかにした。
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