研究概要 |
これまでハイブリダイゼーション原理に基づくDNAセンサーの報告は数多いが,生理的条件特に生細胞内で二本鎖DNAを認識,検出することは極めて困難であった。本研究においては二本鎖DNAの特異的認識ユニットとしてZinc fingerタンパク質を用い,二個のZinc finger同士が細胞内の特異的配列の存在下二量体を形成した際にこれを蛍光強度などで検出することで特異的配列を持つ菌体を検出,選択する新規な手法の開発を目指した。昨年度までに二量体形成促進ペプチドのついたZif268由来の2個のZinc fingerの下流に,蛍光蛋白質であるeYFPを二個に分割したYNあるいはYCを結合させた二種類の蛋白質を同一大腸菌内で発現させることで,これらの特異的配列DNA依存的な近接の結果eYFPのfoldingおよび蛍光団形成が誘起されて細胞あたりの蛍光強度が顕著に強まることを確認した。しかしこの系ではZinc finger部分の配列特異性が8bp程度と甘いことも同時に明らかとなり,プラスミド上に14コピー程度の特異的配列リピートをもつ菌体でないと蛍光分光光度計およびフローサイトメトリーを用いて再現性のよい検出ができない問題も明らかとなった。 そこで今年度はさらに片方のセンサータンパク質にZifドメインを1個追加し,認識配列を長くすることで染色体DNA中にある認識配列由来と思われるバックグラウンド蛍光を減らし,結果pUC19上の1コピーの13bpの認識配列を再現性よく検出することに成功した(20^<th>IUBMB International Congress, 2007/6,京都および2006年度日本生物工学会大会にて発表)。以上より当初の目的である生理的条件で特異的配列が検出可能な核酸センサー蛋白質が創出できたと考えられ,現在投稿論文としてまとめるために比較として試験管内再構成の実験を行っている。
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