研究分担者 |
馬越 大 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (20311772)
島内 寿徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (10335383)
吉本 誠 山口大学, 工学部, 助教授 (80322246)
森田 誠一 和歌山工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (70332054)
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研究概要 |
本申請課題では,リポソーム界面を反応場として,環境条件の変動(ストレス)に応答して触媒活性を制御する新規な人工酵素の創成を目的とする.平成17年度は,環境の酸化ストレス状態を認識して活性を制御するための活性中心として,アミロイドβタンパク質やスーパーオキシドジスムダーゼ(SOD)を膜上に提示し,酵素様活性が発現することを示した.そこで,平成18年度は,ROS応答・制御型人工酵素リポソームの設計・開発を目的として,以下の2班にわけて検討を進めた. (a)人工SOD機能解析班:天然SODの活性中心を模倣した人工SODリポソームを設計・開発する.前年度に開発したPorphyrinやアミノ酸残基をベースとしたリガンドをリポソームに修飾する事により,リガンドの離合集散(クラスター形成)挙動とSOD活性とが相関することを見出した.したがって,リポソーム膜のストレス応答特性による活性制御の可能性が示唆された.(馬越,吉本,久保井) (b)リポソーム/センサ班:上記の機能性リガンドにより修飾した,あるいはその他の膜成分を変化させたリボソームを調製し,誘電分散解析法,あるいはリボソーム固定化QCM(水晶振動子)を用いて,そのドメイン形成挙動やタンパク質・ペプチドとの相互作用を解析した.その結果,温度変化などのストレス条件に応じてリガンドのクラスター形成挙動を制御することが可能であり,SOD活性を制御可能であることが示された.(島内,森田,久保井) 上記の知見を総括して,当該研究期間において,リボソームのストレス応答特性に基づいて,活性中心としてのリガンドのクラスター形成挙動を制御することによりSOD活性を発現することが可能であることを示せた.さらに,人工酵素リボソームを設計・開発するための新規なアプローチ(Build-up型ならびにBreak-down型)を提案し,体系化の方針を明確にした.
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