研究課題/領域番号 |
17656286
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
船舶海洋工学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
寺尾 裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (10138638)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 波浪推進装置 / 実用化船型の開発 / 方向波 / 波浪中運動性能 / 波浪中抵抗減少 / 双胴型波浪推進船 / 無拘束試験 / 小型計測装置 / PIC |
研究概要 |
波浪推進装置とは特殊な水中翼を船体の船首に取り付けた物で、波のエネルギーを直接推力に変換する自然エネルギーの利用装置であり、同時に船体運動の抑制効果が期待できる。この装置の実用化にむけて、本研究者は新たな2翼式の高性能の波浪推進装置の開発を進めているが、実用化にむけてはその性能を実海域で実証する必要がある。この研究を行うために、ここでは実船に即した双胴船の波浪推進船型開発を行い、その性能把握のために波浪水槽中で小型模型の自走試験を行いデータの蓄積に勉めた。また、この波浪推進装置を搭載した一人乗り小型艇は船長10m、排水量4トンの実船として2007年5.月に進水する予定で、2008年度春に5000Kmのハワイ-日本の実験航海を計画している。しかし、その船体の運搬のためにコンテナに収める寸法上の制約があり、その制約の中での船型開発を行った。 この航海の安全性確保と成功には、波浪推進装置の波浪中の性能把握が是非とも必要である。またこの航海計画では、大洋を長距離航行するために、大洋中での方向波中の波浪推進装置の走行性能を調べる必要がある。またそのときの船と波浪推進装置の運動性能、および翼に働く力、翼の運動について実験的に検証しておく必要がある。そのために波浪水槽で自走試験を行った。 波浪中走行試験を行うための水槽のサイズ、および船型および波浪推進装置の開発コスト削減のために、1/10スケールの超小型の自走式波浪推船を制作することし、水槽実験を繰り返した。スケール比より、模型の排水量は計測装置搭載時で約4Kgf(39N)を切る必要があった。そのため、軽量の模型を製作し、ワンチップマイコンと呼ばれるPIC16F877をコアとした、軽量で小型省エネ式の計測制御装置およびデーターロガーを開発し搭載、波浪中自走実験を行い、必要なデータの蓄積を行った。 波浪中自走実験の結果、波浪のみで高速の自走走行が出来ることはもちろん、高い向波および追い波走行性能を発揮することが証明された。波高・波長にもよるが向波でFn=0.2を簡単に達成できることもわかった。さらに斜め向い波、および斜め追い波でも同じような高速性能が期待出来ることがわかった。しかし、横波走行性能は向波の1/2程度の速度となった。これは船体の制約条件によるものであると考えられ、さらなる船型開発の必要性があることも、同時に証明された結果となった。 波浪推進装置の船体運動抑制効果は、翼と船体運動解析を行うことで、通常の船体運動のPitchおよびRoll運動と比較しても、これらの運動が遙かに小さくなることもわかった。
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