研究概要 |
本研究では,従来の知見を収集し,さらに必要最小限の基礎データを自ら実験などにより求め,次の段階に進むのが適当かどうかとの判断を下すのに十分な検討結果を提供することを第一の目的とした.検討結果をまとめると次のようになる. 1.掘削機械 TBMによって十分に可能と考えられるが,問題は,支保や運搬との連携がうまく機能することと考えられる.掘削径がある程度可変であることが望ましいが,3連シールドなどはより複雑な機構を有しており,掘削径をある程度可変とすることは現在の技術レベルで十分に可能と考える. 2.支保 支保には,鋼枠,ロックボルト,吹き付けコンクリート,シールドなどが考えられる.この内,鋼枠は自動化が困難である.シールドは高価であるので今回の検討対象としなかった.可能な限り自動化し易い吹き付けコンクリートを用い,岩盤条件の悪いところのみロックボルトを追加する方式が適当と考える. 3.運搬を考慮した施工 原則として円形坑道をそのまま使用する.積み込みなどは遠隔操作とし,原則としてトンネル内に人は入らないことにする.エキスパートシステムを採用し,長大トンネルでの機械類の管理,故障診断をおこなうことが適当と判断した. 今後の検討課題として下記が残った. 1.トンネルの仕様の詳細:許される最大深度,必要な立坑の数とその位置などを検討し,トンネル仕様の詳細を決めること. 2.局部的な安定性の決定方法:長いトンネルでは局部的に極めて弱いところがあるはずである.これを事前に余地して適切な方策を確立しておく必要がある. 3.万一のトラブルに対する対策:突発的な崩落や湧水,重大な機器故障など可能性は小さいものの適切な方策を確立しておく必要がある.
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