研究概要 |
各住宅に設置されたPVシステムは,平常時にはそれぞれの住宅に対して電力供給を行うが,都市災害等で上位系統からの電力供給が途絶えた場合には,配電線を利用して地区単位で災害時マイクログリッドを構成し,病院や学校などの地域で利用する施設(以下、防災センタと称す)に電力供給を行える可能性がある。このように,災害時においてPVシステムを地区全体で有効活用することをPVシステムの社会インフラ価値として考え,電力供給の可能性を評価した。本構想について,PVシステムの日々の出力変動を考慮し,PVシステムによる電力供給量と防災センタの需要とのバランスを算定した。その結果,都市再開発において,地域単位で防災センタを核として住宅を集中配置することで,日射量の変動を考慮しても,概ねPVシステムのみで防災センタの昼間の需要を賄えることがわかった。また,供給不足を補うために必要な蓄電池容量を算定し,例えば,電力供給の停止が3日間継続する場合,蓄電池のみで防災センタの電力需要を賄う場合と比較して,災害時マイクログリッドによってPVシステムの発電電力を地域で有効利用できれば,蓄電池の再充電が可能になるため,蓄電池容量を30%程度に削減できることを示した。 また,本構想におけるPVシステムおよび蓄電池による電力供給において,需給バランスおよび適正電圧を維持するための各機器の自律分散的な制御について検討した。その結果,蓄電池の充電状態に応じて蓄電池端子電圧を変更し,各PVシステムは受端電圧に応じてON/OFF制御する手法を提案し,計算機シミュレーションによって動作をした。
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