研究課題
萌芽研究
生きた細胞・組織、とりわけ神経細胞等を無染色で細胞内微細構造を動的に可視化できる偏光顕微鏡の研究開発を目指して研究を行った。本研究は研究代表者が、考案した新型偏光顕微鏡の原理を具体的に実証機として作製し、神経細胞等の生きた細胞を用いた実験により証明することを目指した。複屈折性が異なる物質を透過した光は、位相がずれる。単色の直線偏光で試料を照射し、その偏光面と直交した方向に配置した直線偏光子(検光子)を用いて、暗黒の状態(クロスニコルと称す)で得られる1枚の顕微鏡画像と直線偏光に±に微小な位相量を与えて照射した時の2種類の顕微鏡画像とを冷却CCDカメラで取得し、これら3枚の画像から今回考案したアルゴリズムを用いて各画素毎の演算処理をして、試料の位相量ずれの分布を示す1枚の画像を合成することに成功した。さらに取得した3枚単位の画像を用いて、それらを1枚ずつずらして連続した3枚の画像から1枚の画像を連続的に合成し、動画とすることを考案した。従来4枚毎に1枚しかできなかった動画像を4倍の速度で示すことが出来るものである。さらに±の微小な位相量変化という特殊な値だけでなく、照射光の任意の位相量を用いた一般解も求めた。これらの考案をもとに実証機を作り、「偏光顕微鏡観察法及び偏光顕微鏡システム」の特許の出願を行った。これらの発明した画像演算処理方式により、無染色の生きた細胞の細胞内構造物に存在する微少な位相量の違いの分布マップを新型偏光顕微鏡で可視化することに成功した。さらに、上記の顕微鏡を用いて生きた網膜神経細胞である水平細胞を単離してその突起が印加電場に応じて動くことを確認した。これらの新型顕微鏡の原理及び神経突起の伸長に関するいくつかの論文を準備中である。
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