研究課題
萌芽研究
私たちは、1990年代から、宿主植物に対して病徴を示さず、宿主細胞に一定量存在し、垂直(種子)伝播するといったプラスミド様の性質をもち自己複製する2本鎖RNAレプリコンが種々の植物から検出されることを報告してきた。さらに、菌類、原生生物、昆虫からも同様な性質を示す2本鎖RNAが検出される。本研究では、植物だけでなく菌類、昆虫から検出される2本鎖RNAについて、塩基配列を中心とした分子構造を明らかにし、プラスミド様2本鎖RNAレプリコンの普遍性について明らかにした。植物病原菌Alternalia alternate EGS35-193株からは、3.6-1.5kbpの4成分の2本鎖RNAが検出される。L鎖(3.6kbp)を鋳型としてcDNAクローニングをおこない全長の塩基配列を決定したところ、L鎖はTotivirusとChrysovirusのRNA依存RNA合成酵素(複製酵素)に相同性を示すタンパク質をコードするが、その相同性は低く、新規な2本鎖RNAウイルスに分類されうる可能性が示された。昆虫ヤマヨツボシオオアリ(Camponotus yamaokai)からは、約6.3kbpの2本鎖RNAが検出される。この2本鎖RNAを鋳型にcDNAクローニングをおこない、約5kbpの塩基配列を決定・解析したところ、この2本鎖RNAは、TotivirusのRNA依存RNA合成酵素に相同性を示すタンパク質をコードすることが分かった。この結果は、昆虫に存在するプラスミド様2本鎖レプリコンから得られた初めての塩基配列情報である。また、Totivirusは、植物、原生生物、菌類から検出されていることから、動物(昆虫)も含めて、真核生物全般に分布するプラスミド様の性質を示す2本鎖RNAレプリコン(ウイルス)であることが示された。
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