配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
ミツバチをコロニーから隔離して単独で飼育すると,学習能力が著しく低下する.このことから,脳の機能的な発達に,コロニー内の社会的な刺激が重要であると考えられる.本研究課題では,単独飼育個体とコロニー内で飼育した個体間で脳における遺伝子発現パターンを比較し,社会的刺激依存的に発現量が変化し,記憶や学習などの脳の高次機能に関与する遺伝子を検索・同定することを計画した. 1)平成19年度は,単独飼育した個体とコロニー内で育った個体の脳キノコ体における遺伝子発現を,マイクロアレイ法で網羅的に比較し,独房飼育により発現量が有意に低下する数十個の候補遺伝子を同定した.それらの遺伝子のうち,slit homolog 1に特に注目して解析を進めた.Slitは,動物界で広く保存されており,神経ネットワークが形成される際のガイダンス分子としての働きをもつタンパク質である.逆転写定量PCR法によりslit homolog 1の詳細な発現解析を行ったところ,独房飼育で発現が低下すること,コロニー内で飼育した個体では加齢に伴い発現量が増加することが確かめられた. 2)ミツバチの女王は,羽化後まもなく交尾飛行にでかけ,その後は巣内に留まって産卵に専念する.一方,働き蜂は若い個体が育児など巣内でのタスクに従事し,老齢の個体が採餌に巣外で活動する.このような行動変化の神経基盤の一端を明らかにするために,ドーパミントランスポーター遺伝子に注目し,その発現を解析した.その結果,働き蜂が育児から採餌にタスクを変更する時期にドーパミントランスポーターの発現量が上昇すること,また女王が交尾飛行を終えて産卵を開始すると,発現量が低下することが示され,ドーパミン神経がミツバチの行動変化に深く関与していることが示唆された.
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