研究課題
萌芽研究
リン酸は窒素に次いで欠乏しやすい要素である。土壌中のリン酸の大部分は結合型で、植物が直接吸収できる可溶型リン酸の土壌溶液中の濃度はおよそ1pM程度、植物体内との濃度差は2千倍以上になる。ルーピンやヤマモガシ科の植物はクラスター根と呼ばれる特殊な根を作る。この根は1cm程度の短い側根を大量に密集させて発生することで表面積が通常の根の100倍以上になる。加えて酸性フォスファターゼや有機酸の分泌量が上昇しており、結合型のリン酸を溶かして吸収する能力が強い。クラスター根の形成はリン酸欠乏やオーキシンで促進されることが分かっているが、クラスター根を誘導する遺伝子やシグナル伝達系については分かっていない。白花ルーピンのクラスター根形成に関与する遺伝子を明らかにするために、クラスター根誘導のかかった根からcDNA libraryをすでに作成した。本研究ではこのlibraryからRNAi法(遺伝子ノックアウト法の一つ)で目的の遺伝子をスクリーニングして、その機能を解析する。まずRNAi法の開発に取り組んだ。作物でクラスター根を作るのは白花ルーピンだけであるが、白花ルーピンは形質転換できない。そこでpeanut stunt virus(PSV)を用いたRNAi法を検討した。この方法は形質転換を必要としない。光合成に必須な遺伝子であるPDSをこの方法でノックダウンしたところ、葉に白い斑が入り、かつPDSの発現が抑制されていた。白花ルーピンでもRNAiを誘導できることが明らかとなった。つぎに機能の分からない遺伝子LaMYB1にRNAiを誘導した。この遺伝子は根の内鞘組織で主に発現することが分かっている。誘導した結果、LaMYB1別発現量の低下したルーピンでは根粒の着生数が減少し、かつ、LaPTやLaAPなどの遺伝子発現が低下していることが明らかとなった。
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Plant and Animal Genome XIV Conference (in press)
3rd International Conference on Legume Genomics and Genetics (in press)
Proceedings of the 15th Plant Nutrition Colloquium
ページ: 94-96